R&Dのチームマネジメントに関するメモ

R&Dのチームマネジメントは、主にリサーチ領域とデベロップメント領域で異なっています。

リサーチ領域は、探索的に行う研究とより深めていく研究のバランスをどのようにとって持続的なイノベーションを実現していくか、が重要となります。

デベロップメント領域は、技術の価値とプロダクト価値のマッチングが取れるように、技術をプロダクトに入れ込める形にしていく必要があります。つまり、技術の利用価値を高めることが重要となります。

■リサーチ領域のマネジメント リサーチ領域では、探索領域と深化領域を見定め、それぞれチームの中でどのように進めるかを検討しますが、深化領域がやはり成果が出やすいため、探索領域と深化領域のバランスがチームメンバのメンタルにとっても重要となってきます。 探索領域を10年、20年続けることはメンバを疲弊させますし、深化領域で成果を出しつつ、探索領域にも手を出すのが定石となります。

探索領域が重要なフェーズでは、探索領域に集中するチームを作り、探索領域の成果指標を明確化することが重要です。

例えば、オープンイノベーションの枠組みで探索をするとしたら、探索回数や質、マッチングの数などをしっかりと評価することで、成果を認めるシステムを構築する必要があります。 そうでないと、やることが明確な深化領域に流れていくので、探索が広がらず、イノベーションのジレンマに陥る可能性が出てきます. 探索と深化を組織でバランスを取るのか、チーム内でバランスを取るのかも議論があると思いますが、個人的にはリサーチ領域であればチーム内でバランスを取ることが望ましいと考えています。 チーム内で探索と深化を両方持つことで、偶発的な発展を遂げるケースがあるからです。

■リサーチ領域のチームマネジメント チームの内部にもう少し目を向けると、ピアラーニングが進む環境になっているか、研究に対して必要な情報とリソースが潤沢にあるか、あたりが重要な要素となってきます。 学習を促進して大きな成果を生み出すチームの仕組みを構築することをするためにどのような文化でチームを運営していくのかが重要となります。 研究自体はコンペティティブな営みではありますが、その中でいかに協力関係をうみだし、よりインパクトの大きな研究につなげていくかがポイントです。

個々のモチベーションにフォーカスを当てると、どういった活動が研究者としての価値を感じているのか、をある程度把握して、その価値に合わせて出口をつくっていくことが重要だと思います。 社会に自身の技術を使ってもらうことに価値を感じるのか、人類の知の蓄積に貢献することに価値を感じるのか、それとも自尊心を満たすことに価値を感じるのか、などです。

■デベロップメント領域のマネジメント デベロップメント領域では、技術の利用価値をどのように高めるかが重要なので、利用者、つまりプロダクト開発者などにどうやって使ってもらえるか、が重要な視点となります。 研究の背景などである程度使い方を記載する研究もありますが、大体使えません。なので、研究で生まれた要素技術をプロダクト開発者に使ってもらえる形にするためには、ある程度パッケージ化する必要があります。 そのため、複数のプロダクトに対して適用しやすいパッケージ構成を考える必要があり、デベロップメント領域では、ユーザー重視のマネジメントに自然となっていきます。 プロダクト開発者のニーズを収集する機能、ニーズとマッチングの取れる要素技術を特定する機能、マッチングの取れた要素技術をパッケージとして提供できる形に整える機能、要素技術を取り入れるためのリサーチ領域との連携機能が必要です。 これらの機能を円滑に回るようマネジメントの仕組みを整えることが必要です。 リサーチ領域と比較すると、組織だった行動が必要となるため、それぞれの機能のKPIを設定して、フェーズを意識しつつマネジメントしていくことが重視されると思います。 アジャイルなどのスタイルを活用する方法もあるかと思います。 基本的には、特定の技術分野の中でそれぞれの機能がひとつのチームで動くことになるスタイルだと思います。

■デベロップメント領域のチームマネジメント デベロップメント領域での個々人のモチベーションをどのように考慮するかについては、社会に技術を利用されてもらうことに価値を感じてもらえる人や技術の追求に興味のある人を集めることが重要だと思います。 ここで、研究にこだわる人が入ると円滑に回らなくなる可能性があります。 お互いの信頼関係を構築して、常に尊敬し合う状態を作らなければなりません。

まだまだできてないことがたくさんありますが、徐々に実現できるようになっていきたいところです。